どうも!Ecmorusunです!
今回2022年に設けられた、第一回集中治療専門臨床工学技士の試験に合格し、
晴れて集中治療専門臨床工学技士となりました。
合格までの道のりや思いなどを備忘録として残したいと思います。
- 集中治療専門臨床工学技士の資格について
- 書類審査の内容
- 筆記試験の内容
※この記事では、あくまで私個人の経験や、方法を記載しています。
本試験を受ける際には、日本集中治療医学会から出されている規則・細則などを熟読していただきますようお願いいたします。
目次
集中治療専門臨床工学技士とは?
2022年に新設
この集中治療専門臨床工学技士の資格は2022年に新設されました。
日本臨床工学技士会が認定するものではなく、日本集中治療医学会が認定する資格です。
現在は3学会合同呼吸療法認定士や、体外循環技術認定士などと同じ立ち位置なるかと思われます。
設立の目的は?
集中治療の機能を果たすには「ハコ」の充実だけでなく「ヒト」の充実が重要な要素であることは言うまでもありません。新型コロナウイルス感染症のパンデミックで経験したような、集中治療の急激な需要の高まりに確実に応じられるよう、専門性の高い臨床工学技士を多く養成する必要があります。
一般社団法人日本集中治療医学会HPより引用
集中治療における病態生理、診断、治療に関する高い知識を有した専門性の高い臨床工学
一般社団法人日本集中治療医学会HPより引用
技士を育成、認定することにより、我が国の医療、ならびに集中治療の発展に寄与するこ
とを目的とします。
上記のように、今後も起こりうる医療需要のため、また集中治療の発展のために、
高い知識を有した専門性の高い臨床工学技士を育成、認定することが目的となっています。
医療現場においての臨床工学技士の必要性をこの文言から受け取れ、
私個人として非常に嬉しく感じました!
まだまだ認知度の低い臨床工学技士という職種ですが、
今後の集中治療の発展に必要なピースとして高い専門性を持った臨床工学技士が求められていくことになるということでしょう。
臨床工学技士とは?現役技士が仕事内容や将来性について語りますこうして「この資格を取って、自信を持って自分が提供できることを増やしていこう!」
と考えた私は受験することを決意しました!
集中治療専門臨床工学技士になるには?
試験のスケジュール
事前にスケジュールも通知されていました。
一般社団法人日本集中治療医学会集中治療専門臨床工学技士制度ページより引用
- 5月:申請受付
- 8月:書類審査合否結果通知
- 11月:筆記試験
- 12月:認定審査合否結果通知
- 翌年3月:認定書、バッヂ送付
- 翌年4月:認定
さまざまな認定要件がある
資格を取得するための要件は以下の通りです。
- 日本臨床工学技士会認定「認定集中治療関連臨床工学技士」取得済
- 本認定試験合格
- 特定集中治療室管理料を算定している施設での集中治療関連領域(ICU、救命救急、PICU)の実務経験5年以上
- 学術業績30単位以上
- 日本集中治療医学会学術集会もしくは支部学術集会に参加(5年間で1回以上)
5年以上の実務経験と、学会への参加や、発表が必要であることはもちろんですが、
まずは日本臨床工学技士会が行っている認定集中治療関連臨床工学技士の資格取得が必要になります。
また、集中治療関連領域の実務経験は臨床工学技士業務の特性上、専従でなくても問題なしとのことでした。
日臨工の認定試験に合格し、認定書を取得しておく必要がある
認定集中治療関連臨床工学技士の資格取得にも要件があります。
- 本検定試験合格
- 認定申請前年度から遡り 2 年間連続して日本臨床工学技士会の正会員であり、会費を完納していること
- 臨床工学技士として認定申請領域の実務経験が 2 年以上あり、現在も従事していること
- 認定申請日から遡る 5 年間に1回以上「日本臨床工学会」または「地域臨床工学会」に参加していること
- 認定申請日から遡る 5 年間に要件を満たす単位を 20 単位以上取得していること(単位はHP参照)
- 認定申請日から遡る 5 年間に 1 回以上「キャリアアップ研修会・初級(旧 卒後臨床工学技士基礎研修会)」を受講していること (取得単位として 10 単位付与)
これらをクリアした上で、集中治療専門臨床工学技士の受験には、認定集中治療関連臨床工学技士の認定書のコピーの提出が必要になります。
今すぐになれるものではなく、時間、経験、多くの手続き()が必要になります。
書類審査と筆記試験がある
集中治療専門臨床工学技士の資格取得には書類審査がありました。
各要件を満たすことを証明する書類の提出だけではなく、
臨床現場での経験をもとにした症例提示書類の提出が必要になります。
初めての経験で驚いたのですが、これも新鮮で楽しかったです。
書類審査が無事に合格できれば、8月半ばごろに書類が送付されてきて、11月に筆記試験を受けるといった流れになります。
費用はいくらかかった?
この専門認定を取得するための費用は以下の通りです。
- 書類審査料 ¥11,000
- 筆記試験料 ¥16,500
- 認定登録料 会員 ¥11000、非会員 ¥16500
- 日本集中治療医学会学術集会参加費用 会員 ¥15000 非会員 ¥18000
集中治療医学会の会員でなくても受験可能です。
受験のためには日臨工の試験も受験が必要になります。
書類審査について
書類審査は認定申請書として、履歴書や学会参加、実務証明などの他に、
経験症例実績表と症例報告が必要になります。
経験症例
- 人工呼吸器:10例(侵襲的陽圧換気 8 例以上、それ以外は NPPV もしくは ECMO も可。)
- 血液浄化:10 例(持続的腎代替療法 5 例以上、それ以外は間歇的腎代替療法、アフェレシス療法も可。)
経験症例は、実際に臨床工学技士として人工呼吸器と血液浄化療法に携わったものを記載しました。
人工呼吸器では設定変更に関わるアセスメントや、医師からの依頼による設定変更などで関わったものに加え、
10例中2例はECMO症例で管理した症例を記載。
血液浄化では、CRRTの開始、終了、回路交換、設定変更に関わった症例を記載してます。
いつ・どんな病名の方になどを記載したので、
普段からのデータ管理も重要だと感じました。
症例報告
- 侵襲的陽圧換気またはECMO:2例
- 持続的腎代替療法:2例
次に、この症例報告では、上記の4例について、すべて自分が経験した症例で、
臨床経過や問題点、管理の工夫やチーム医療としての関わった内容について、600文字程度でまとめる
といったものでした。
ここでは普段行っている業務内容の言語化が求められていました。
カルテを見ながら自分が携わったV-V ECMO症例とCRRT症例についてまとめて提出しました。
書類審査については、初回ということもあり、不十分なものは再提出を依頼し受験をした全員が合格したとのことでした。
貴重な症例である必要はなく、自分が関わった部分についてしっかり言語化できていれば問題ないかと思われます。
筆記試験について
無事に書類審査も通過し、いよいよ筆記試験に挑むことになりました。
試験範囲
筆記試験前には試験内容は、「普段の臨床現場で必要な知識の確認程度」といったものから、
「臨床工学集中治療テキストの中から出題される。」といった情報のみで、過去問が無い中で挑むことになりました。
とにかく臨床工学技士集中治療テキストを1ページ目から読んでいきました。
なにかを受験する際には大体この方法を取っていますが、
新しい発見や、昔わからなかった部分が理解できるようになっていたり、
テキストも非常にわかりやすいので、楽しみながら勉強ができました。
試験会場
試験は都内の会議スペースで行われました。
全国の集中治療に関わる臨床工学技士が100名弱集まっており、指定されていた座席に着き試験開始を待ちました。
この時点では書類審査の合格率などは公表されていませんでした。
集中治療や臨床工学技士界で有名なお方もお見かけしました笑
試験内容と当時の感想
試験内容・解答については集中治療医学会の集中治療専門臨床工学技士ページから見ることができます。
試験内容は全問見れるので、ここからは試験開始からの私の頭の中をご覧ください・・笑
正答肢選択式マークシート、150分で100問の1問1点。 試験開始・・ a.b.c.d.eからの選択式? ①NHFの効果・・これは大丈夫。 次、チューブの内径から閉鎖式吸引カテのサイズ選択、普段やってるやつ。大丈夫。 ん?なんか裏に長文が透けてるぞ・・?なんだ?(ページをめくる) おお!?臨床での対応か!すごい! テキストに書いてあったところも出てるし、症例を読んで自分で判断するのか!おもろ! てか医師の試験ってこんな感じじゃなかったっけ? 禁忌肢とかないよね? それよりこのペースで解いてたら100問間に合うか? まぁとにかく正誤を求められている部分はしっかり確認しよう。 あ・・やばい・・全然見直す時間ない・・ とりあえず終わったけどあと10分くらいしかない・・やばいばやい・・ うん、まぁ抑えるところは抑えてるから・・大丈夫かな・・うん・・
お見苦しいものをお見せして申し訳ありませんでした。
ぜひ問題を見ていただきたいのですが、
症例提示からどんな病態か、人工呼吸器設定として妥当なものはどれかなど、
様々な試験を受けてきましたが、文字から想像して答えを選択するといったものは初めての経験でした。
そしてあとがきには集中治療専門医試験の中から11問を出題したとのことで、
求められていることの高さを認識することができました。
試験終了後はTwitter内で試験を受験された方々が問題について議論しており、
非常に楽しい思い出となりました。
第2回試験の問題も公開される可能性が高いため、
ぜひ今後も問題が公開され次第、挑戦したいと思います。
おわりに
今回、この専門試験を通して、臨床工学技士として求められている知識や意識、心構えなどを試験全体を通して感じることができたと思います。
最初にこの試験を受けた動機から変わらず、
この資格を持っているからすごいんだぞ。ではなく、
この資格を自信に変えて、日々質の高い医療を提供するためにはどうしたらいいのか思考し、行動する必要がある!
と思っている所存です。
集中治療に必要な生命維持管理装置および関連医療機器の有効性、安全性
一般社団法人日本集中治療医学会HPより引用
に関する知識、技術を有しており、さらに集中治療科専門医およびメディ
カルスタッフと協働して質の高い集中治療を実践できる。
臨床工学技士はどの現場でも上記の内容が求められていると思っています。
慌てず、日々精進です。
お付き合いいただきありがとうございました。